2016年6月7日火曜日

新作:誠光社さんの文庫ボックス



京都の書店、誠光社さんといっしょに作った本のためのギフトボックスが完成しました。


文庫本が入るサイズのこちらのギフトボックス。

箱のフタに書かれたテキスト

”Sous les pavés, la plage ”

とは、パリ五月革命時に叫ばれた詠み人知らずのスローガンを引用しています。




箱のフタをあけて中の本を取り出すと、テキストの和訳がでてきます。

『舗石の下は砂浜』

というのは、パリ五月革命時に、舗石を剥いで投石したことと、その向こうに広がる自由を、文庫の入った箱と読書という行為に重ね合わせました。

このテキストを誠光社の店主堀部さんから提案されたとき、難しいお題だなぁとおもいました。


絵については、できれば本のモチーフを使って、とのことだったのですが、テキスト自体がかなり詩として広がりを持っているし、絵が、言葉どおりでもつまらないし、イメージを飛躍させると意味不明になってしまうし、、、


結局悩みましたが、この箱が本のためのギフトボックスであること、堀部さんのイメージされている「箱から本を取り出す行為、読書という行為が、革命時のパリの石畳を剥いで投石した行為とかけてみる」ということが、すこしでもつたわるような絵にできれば。。。
と考えてつくったのがこちらです。

 
本を手にとって開くと、どこか広いひろい砂浜から、ざーざーと砂が出てくるイメージです。笑

私自身はあまり本を読まないのでえらそうなことは言えないのですが、本と一言にいっても、ジャンルが違えばまったく別世界のものですよね。

そして本を読む行為は、その別世界に自分がつながれること。


だれかに本を贈ることって、下手するとかなり押し付けがましくもありますが、でもすごくおもしろい行為だなぁーと個人的には思っています。



活字ではなくデジタル化したフォントを読むことのほうが、多くなった現代ですが、「もの」としての本の価値って、贈り物としての魅力もあるんじゃないかなぁともおもっています。



印刷は活版印刷で手刷りしています。



わたしは持っている活字が少ないので、箱の表面のフランス語のテキストのみ金属活字で印刷しています。

たった一行だけという、少ない文字数を印刷するのは実は活字に印圧がかかりすぎてしまうので、はしっこのほうにいらない活字を並べて 印圧を逃がすようにしています。


文字以外は樹脂版です。






色はグレーと茶色があります。




箱の底裏面にはロゴをいれてあります。



箱のサイズですが、これは我が家にあった講談社文庫を入れた様子。
新潮社とかの一般的な文庫はすこし余る大きさになっています。


小さいものだと、カラーブックスでこんな感じです。




早川書房の昔のですが、大きめの文庫もこれくらいまでなら入ります。
厚みについては、かぶせ式の箱なので、はみだしても問題ないとおもいます。


お取り扱いは誠光社さんにて。
文庫本と一緒に贈り物に、ぜひお使いいただけたら幸いです◎