テキンと呼ばれる、卓上型の小型のアダナ式活版印刷機です。
タイプライターのような感覚で、愛好家に古くから愛されてきたそうです。
構造もものすごくシンプル。
電気もつかわず、手でハンドルをひいて印刷します。
活字以外でも凸版画の小型プレス機のような使い方もできるんです。
たとえば手彫りの木版だって使おうと思えば使えるんです。
活字を使った活版印刷も、木版画も消ゴムハンコも、みんな仕組みは同じ「 凸版」。
わたしは活字も使いますが、いろんな「 凸版」を組み込んでやっていけたらなぁとおもっています。
ここ数年どんどんポピュラーになってきた活版印刷ブームを見ながら、冷静をよそおってきた自分でしたが、やっぱり手をだしてしまいました…。
撮影するためとはいえ、ずっとシルクスクリーンの印刷機がのっていた台に、 活版印刷機を乗せ変えるだけで、なんかやましい気持ちになるのはなんでだろう…。
ちなみにこれがシルクスクリーンの印刷機。これも電気はつかわない手動のもの。
活版印刷機よりいっそうシンプルな仕組み。
そういえば写真とったことなかったことに気がついて、また申し訳ない気持ちになってしまいました。笑
もちろんこれからも変わらず大活躍してくれます!
印刷に使用する活字は欧文活字のバスカヴィル。
活字もまた、コレクター心をくすぐる危険な魅力をもっています…。
活字をケースに振り分けるだけでかなり時間かかりました。地震でひっくり返ったら大変だ。
不慣れな手つきで試し刷りのために活字を拾いました。デジタルでの作業と全然違って、文字と文字の間の字間調整がすごく手間です。横に写っている金属製の込めものや、もっと微調整するためには紙を切って活字のすきまにはさんでいきます。
あんまりこだわりだしたら切りがないけど、とても重要な作業。そして難しいです。
大雑把な性格の自分には、一番不安な作業。
時間に余裕があるときは、うっとりするような作業なんですけど、納期がせまっている時とかは、手がふるえるとおもいます。
活字を印刷機に取付けて、インクをつけて印刷します。
想像以上に和紙はやわらかくて、印圧の調整がむずかしいです。
インクののりもまばらだし、活字が食い込んでしまう。
紙に食い込まないように印刷するのが職人の腕の見せ所っていいますが、それがどれだけ難しいことか、ほんとよくわかりました。逆にこの凹んだ感じが、最近は活版印刷のチャームポイントとして人気があるので、なんかまあ、いいかな…なんて弱腰に…。
絵の方も、今度試し刷りします。
まだまだ技術的には大きく進歩しなさそうですが、活版刷りのもの、この秋から商品化する予定です。