絵屋さんの貴重な「からっぽ」の空間で、参加型のドローイングワークを開催させていただきました。
当日は、用意していただいていた机に、ドローイングワークの流れがわかるように、わたしの作品をならべておきました。
今回のドローイングワークは、わたしがここ数年やっている、星を縫うのドローイングワーク をベースにしています。最初にみなさんにその話を実物を見せながら説明しました。
画廊の壁に無数にある、ちいさな穴。作品展示をした痕跡のちいさな点を、トレーシングペーパーで写します。(普段は自分でばばばっと描いている点)
ランダムに写し取ったもの
わたしは普段、あまり考えないようにしながら点をつなぐ作業をしますが、今回参加していただいた方には、それぞれすきなように点をつないでもらうことにしました。
つないだ線でうかびあがった形。点と線でかこわれた空間に色がみえたり、奥行きが見えたりするので色をぬっています、ということも説明させていただきました。
この秋からひさしぶりに再開する、紙のものの制作も、その流れのタッチで描いています。
絵屋さんの壁。からっぽの画廊の、星のように広がる点々の痕跡。
絵屋の土壁ができたとき、あまりにもきれいすぎてつまらない、といった絵屋の代表で、美術評論家の大倉さんが、自らひっかいて作ったという、うわさの痕跡。笑
大倉さんも参加してくださっていたので、その話のことを聞いてみました。ご本人は記憶がおぼろげのようでしたが、そばにいたという証言者の話では、大倉さんと舞踏家の堀川久子さんが、素手でひっかいていたそうです…。
これも大倉さん疑惑があるようなのですが、それについては分からずじまいでした。
この日、わたしは普段とちがうことをしてみようと、点以外の痕跡を写してみました。
壁に描かれたサインのような痕跡。
それから木の模様とキズ。
コピーをとって、
自分の線になりすぎておもしろくなかったので、なんとか崩そうと試行錯誤。さらにトレーシングペーパーに写し直して、 また壁の痕跡を赤い絵の具で写してみました。ランダムに、いろんな色で痕跡を重ねたらおもしろそうでしたが、ここで時間ぎれ。
大倉さんが絵屋で自分の絵を展示するという、 すごく貴重な光景でした。笑
ランダムな点を線でなぞる、というルールがあって、そういう場合、どんな絵になるんだろう。
ひとそれぞれ、違った色合いが見えたのがおもしろかったです。
みんな同じような手順だけど、それぞれ自分なりのルールがあったり、意図があったりなかったり。
普段、私が点をなぞるとき、点を「カルマ」としてイメージしてみることがある話とか、絵を描く上で、なるべくぎりぎりまで自分の自由をなくすことで、逆に楽になれることがある、という話をみなさんに話させていただいたりしました。
今回参加されたなかで、普段絵を描かない方も、この点をうつしてなぞるだけ、という行為は不思議と心地よかった、とおっしゃってました。
いちおう絵を描くことを仕事としてさせてもらっている自分にとって、自意識はいやというくらいついてきます。意識して絵を描くことの不自然さや違和感に苦しむこともあります。
そのときは、こういう感覚に逃げたくなります。
そして自分の意識から逃れすぎると、またむくむくと自意識から描きたくなるスパイラル。笑
あらためて、やっぱり絵を描くって不思議なことだとおもいました。
なにより、こんな内容のワークショップ、お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。笑
わたしが一番楽しませて頂いたのではないでしょうか…。
画廊という場でこんな機会を与えていただき、ほんとうにあらためて自分には100年早い気もしましたが、 ほんとに貴重な経験をさせていただきました。
去年からの仕事復帰で、ワークショップ中心にいろいろと活動させていただいてきました。
子育てや制作環境など、だいぶ整い始めたので、制作も腰をすえて出来るようになってきました。この秋、新作もいろいろ予定しています。
告知もふくめて、秋からの予定も次回、まとめてお知らせいたします。