2015年11月8日日曜日

恵文社さんと誠光社さん




京都の書店、恵文社一乗寺店の店長を長年勤められていた堀部篤史さんが、まもなく誠光社という本屋さんを、京都の河原町丸太町にオープンされることになりました。

堀部さんから、自分のお店を始められることを教えていただいたときは本当にびっくりしました。そのことはとりあえずおいておいて、


画像は、堀部さんと一緒に作らせて頂いた

手漉き和紙×活版印刷
PHILOSOPHY CARD
produced by 誠光社

というポストカードです。


誠光社さんのウェブショップで、販売もはじまりました。


ポストカードは全部で5種類。

酒瓶、カメラ、時計…など、わたしが描いた絵に、堀部さんがテキストを選んで下さいました。

テキストは、アーティストや作家たちによるちょっと哲学的な名言の引用になっています。


このポストカードは、まずわたしが無造作に選んだモチーフを絵に描いて、堀部さんはそこから絵を選んでテキストを当てがうという、一般的なイラストレーションとテキストの関係性とは逆の流れで制作しています。

とても個人的にはおもしろい試みで、楽しく作らせていただきました。


絵は樹脂凸版、テキスト部分は活字を使用して印刷しています。


"All alone by the telephone"
古いポピュラーソングより

和紙/タニウツギ×鉄媒染



"Everything we do is music"
ジョン・ケージ

和紙/オニグルミ×灰媒染




"The painter constructs, the photographer discloses"
 スーザン・ソンタグ

和紙/クロモジ×鉄媒染




“Next to music, beer was best.”
 カーソン・マッカラーズ

和紙/ クロモジ×灰媒染



"Why don't you take a flying fuck at a rolling doughnut ?"
 カート・ヴォネガット

和紙/オニグルミ×鉄媒染



使用している手漉き和紙は、新潟の山間にある紙漉サトウ工房のもので、自家栽培などの新潟の楮と、地元で採取した植物をつかって染めてつくられたものです。
その工程、詳細はこちらをご覧ください。



「テキストは、アーティストや作家たちによるちょっと哲学的な名言を引用しました。それぞれの意味を解釈して、シーンごとにおつかいください。」


とのことなんですが、PHILOSOPHY CARDという名前のとおり、一般的な使いやすいポストカードではなさそうです。
でも逆にそこは使う人の幅が広がるのでは?とも思っています。

わたしの一番のお気に入りは、カート・ヴォネガットのドーナッツ。
ドーナッツがこういうテキストつけられたか、と、ふふふとなりました。

 "Why don't you take a flying fuck at a rolling doughnut ?"

なんて書かれたハガキ、なにに使いますか?





さて、話がもどりますが、
堀部さんから、自分のお店を始められることを教えていただいたときは本当にびっくりしました。そんな時が来たんだなぁという、さみしさのようなものも。


わたしはいま新潟に住んでいますが、京都出身で、大学生のころから数年間、恵文社でスタッフとして働いていたことがありました。 わたしが入ったのは、堀部さんが店長になられて、比較的まもない頃だったとおもいます。


社会性のかけらもない、ふわふわした芸大生だった自分に、いろいろなことを教えてくれたのは恵文社だったと思っています。
本当にいろいろ迷惑をかけたので、いま思い出しても恥ずかしいことだらけです。

(じつはいまだに恵文社で働いている夢をみるのですが、失敗したりしてどうしよう!とあせっているものばかりです。苦笑)

その当時、一緒に働かせていただいたスタッフのみなさんは、堀部さんもそうなのですが、仕事の上司というよりは、どこか年上の大学の先輩のような感覚があって、いろいろな話を聞いてもらったりもしていました。笑

学生時代に出会った人だからこそ、いまでもどこか甘えられる気持ちがある、なんて言ったら駄目なのですが。。。



それにくわえて、恵文社のある一乗寺のとなりの修学院には、わたしの祖母の家があり、大学生のとき、一人暮らしがしたくて、無理矢理四畳半の古い女子アパートをかりて、祖母の家とアパートを行ったり来たりしていました。

そんなこんなで、恵文社は、自分の大学生のころのいろんなことと、京都自体への愛着なども重なっていて、恵文社がすこしずつ変化していくことは、いろいろな想いになってしまいます。

いつまでも変わらないでいて欲しいという気持ちがあるけど、でも変わることのほうが健全であるようにも思うので、変わってくれてほっとする、というのもあり…でもさみしくもあり…



でもなにより、いまもこうして、仕事で関わらせて頂けることに感謝です。

長々とよくわからない話で失礼しました。


さて、じつはもう一つ。

誠光社さんのオープン予定の11月末ですが、同じ頃に恵文社の店内にて紅茶のフェアを開催します。




仕入れなどの都合により、販売終了したカトレア草舎の紅茶ですが、「tea&books」をテーマに、数量限定で、京都の本屋さん、恵文社一乗寺店のオリジナルのフランス紅茶として、販売させていただくことになりました。

輸入元のアンシャンテジャポンさんのご協力のもと、わたしはパッケージデザイン&印刷をさせていただきます。


種類は4つ。


本屋さんで絵本を選ぶように、お好きな香りの紅茶を選んでいただければとおもいます。
また紅茶の香りに合わせて、本のセレクトもしていただく予定です。

恵文社生活館にて11/21〜12/25まで開催予定です。

こちらの詳細はまた後日お知らせいたします。